M78星雲(エムななじゅうはち せいうん)は、ウルトラシリーズに登場する架空の星雲。ウルトラマンらの故郷で、銀河系から300万光年離れた所に存在する設定になっている。別名光の国。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
設定の変遷[]
M78星雲がウルトラマンの故郷であることは、『ウルトラマン』第1話においてウルトラマン自らが語っている。当初は「M87星雲」という設定だったが、脚本印刷時に「M78星雲」と誤植されてそれがそのまま放映され、現在に至っている。
「光の国」という名は『ウルトラマン』の主題歌において早い段階から歌詞として歌われており、ウルトラマンの出身地として認知されることとなった。『ウルトラマン』放映時、光の国はM78星雲と同義語として使われることが多かったが、『帰ってきたウルトラマン』以降は「ウルトラの星」を指す言葉としても用いられている。
光の国という漠然とした設定から、第2期ウルトラシリーズの後半、『ウルトラマンタロウ』のころから「ウルトラの国」という表現が用いられる。ウルトラタワーというクリスタル状の建築物があり、ウルトラキー、ウルトラベルなどの設定のために、学年誌で紹介されたに留まる。タロウのペットのラビドッグや、ウラーという通貨も設定され、ウルトラマンジャックには子供がいるという設定も存在していた。
映画『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』で語られた設定では、M78星雲は暗黒宇宙の裏側に存在し、その中の6900万個の星の一つが光の国であり、地球の直径の約60倍、300程の都市を有し、太陽は無いが地下に設置されている900台の原子力発電所で作られているプラズマエネルギーを使用しているとされている。
近年では、星そのものを「光の国」(「ウルトラの星」)と呼ばれるようになり、「ウルトラの国」は光の国の中の最大規模の都市の名称として扱われるようになった。
実在する天体のM87はおとめ座にある楕円銀河であり、地球から5480万光年離れた位置にある。中心部からスペシウム光線よろしくジェットを噴き出している活動銀河で、中心核にはブラックホールがあると考えられている[1]。また、M78はオリオン座にある反射星雲(星間分子雲)である。地球から1600光年離れた位置にある。
ウルトラの星[]
M78星雲の中にある、地球の約60倍の大きさの惑星「光の国」に住む人々は、かつては地球人と同様の普通の人類だった。しかし26万年前、太陽が大爆発して光が失われ、科学者たちは人工太陽「プラズマスパーク」を開発。あるとき発生した事故により、プラズマスパークが発する放射線「ディファレーター光線」に2人の研究員が被曝してしまう。直ちに分析調査が行われたが、悪影響はなかった。だが、ディファレーター光線を浴びたことで、彼らの体は強化され超能力を身に着けた体になっていたことが判明する。光の国を治めていた長老は、「光の国」の人々にディファレーター光線の照射を行ったことで、超人ウルトラ族が誕生した。ディファレーター光線は自然の恒星も僅かながら放射しているが、変化したウルトラ族はディファレーター光線の少ないところでは生命維持にすら支障をきたすため、カラータイマーが開発された。
それから23万年後、エンペラ星人率いる怪獣軍団が「光の国」を襲撃、ウルトラの父を始めとする多くのウルトラ族の戦士たちが立ち向かった。長い戦いの末、ウルトラベルの奇跡によって怪獣軍団を撃破、その勝利を記念してウルトラタワーが建設された。その後、宇宙の平和を守るためにウルトラの父を初代隊長として、ウルトラ戦士たちが集結して結成されたのが宇宙警備隊である。
なお、王女としてユリアンが登場するため、王制があるようだが、誰が王なのかは不明[2]。ユリアンは銀十字軍でウルトラの母を助けているとされ、また有事の際は戦線に赴く描写もあり、王家であるというだけで、政治の介入は無い模様。書籍設定では「ウルトラの父が大統領のような存在で政治が行われている」という記述もある。
気候については『ウルトラセブン』におけるポール星人の発言から冬は存在せず、ウルトラ族は寒さに弱いとされているが、冷凍状態になっても活動停止に陥るものの、死ぬことはない。
また、『ウルトラマン80』第3話での矢的猛=ウルトラマン80の発言から、アルバイト制度の雇用並びに通貨の存在、(楽器があることから)音楽の文化があることも判明している。
2009年の映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』ではより詳細な描写がされており、プラズマスパーク・タワーを中心に内側を向いた殻状の大地が球形に重なった構造になっている。エネルギーは全てプラズマスパークに依存しているため、ウルトラマンベリアルによってエネルギーコアを奪われた際にはウルトラの星全体が氷結してしまい、難を逃れたウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンメビウスも巨体を維持できずに人間体となっている。逆に、地球人にはプラズマスパークの光は強力すぎるため、回復後の光の国を訪れたZAP SPACYの面々は宇宙港に張られた防護シールド=バリア空間の外に出ることができなかった。
なお、本作の舞台が光の国ということで、初代マンからレオ・80・メビウスの他にも、海外制作の『ウルトラマンG』・『ウルトラマンパワード』・『ウルトラマンUSA』や、『ウルトラマンネオス』・『ウルトラマンマックス』・『ウルトラマンボーイのウルころ』など、M78星雲出身でありながら昭和の光の国シリーズとの繋がりが曖昧とされていた作品のウルトラマン達も総登場している[3]。
人口は約180億人ほどいるとされ、その内の約100万人が宇宙警備隊員である。
小学館から刊行された『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE 超全集』に記載された設定によると、光の国では40万年間の間にウルトラマンベリアル一人しか犯罪者が出ていない為、警察組織は廃止されているという。
漫画における表記[]
内山まもるの『ザ・ウルトラマン』、かたおか徹治の『ウルトラ兄弟物語』などにはウルトラの国がよく登場した。公式設定における世界観を基に描かれているが、多くは単独の星か複数の星かが不明なまま描かれており、M78星雲の星々が舞台として描かれている。かたおか版で数度、M78星という表記が見られた。
ウルトラマンの故郷[]
- M78星雲内
- 光の国(ウルトラの星、ウルトラの国):ウルトラマン、ゾフィー、ウルトラセブン、セブン上司、ウルトラマンジャック、ウルトラマンA、ウルトラの父、ウルトラの母、ウルトラマンタロウ、ウルトラマン80、ユリアン、ウルトラマンG、ウルトラマンパワード、ウルトラマンネオス、ウルトラセブン21、ウルトラマンボーイ、ウルトラマンマックス、ウルトラマンゼノン、ウルトラマンメビウス、ウルトラマンヒカリ、ウルトラマンベリアル、ウルトラマンゼロ
- キング星:ウルトラマンキング
- 惑星アルタラ:ウルトラマンスコット、ウルトラマンチャック、ウルトラウーマンベス
- 獅子座L77星[4]:ウルトラマンレオ、アストラ
- U40(ユーフォーティー):ウルトラマンジョーニアス、エレク、ロト、アミア、メレグ[5]、ヘラー、ロイガー
- アンドロ星:アンドロメロス、アンドロマルス、アンドロウルフ、アンドロフロル
- Z95星雲"ピカリの国":ウルトラマンゼアス、ウルトラマンHotto、ウルトラマンMotto、ウルトラマンKitto
- TOY一番星:ウルトラマンナイス
- 地球:ウルトラマンガイア、ウルトラマンアグル
- 不明(それぞれ異なる):ウルトラマンティガ、ウルトラマンダイナ、ウルトラマンコスモス、ウルトラマンジャスティス、ウルトラマンネクサス
ウルトラ戦士以外にも、『ウルトラセブン』に登場したウインダムがM78星雲メタル星、ミクラスがM78星雲バッファロー星、アギラがM78星雲アニマル星、『ウルトラマンレオ』に登場したセブンガー、映画『ウルトラマン物語』に登場したドックンがウルトラの星と、この星雲が故郷である設定となっている。また、『USA』に登場したソーキン・モンスターもこの星雲内にあった惑星ソーキンが出身地とされている。
ウルトラの国の建造物[]
ウルトラの国[]
- 光の国でも、最大規模の都市。建造物の数々は、空中浮遊・移動能力を持つため都市の景色はたびたび変わるといわれている。
- プラズマスパークタワー
- この建物は、光の国の中心にある一番巨大な建物で、常に空中に浮いている。
- 室内には、人工太陽プラズマスパーク・エネルギーコアがある。光の国の中核をなすところである。このコアが奪われてしまうと他の星に被害が及ばないように全ての機能が停止してしまい、ウルトラの国は凍り付いた極寒の星となる為、コアに触れることはウルトラ族の間では禁止されている。
- 宇宙警備隊本部
- 宇宙警備隊の活動拠点である本部基地。『ウルトラマンタロウ』第26話ではアルファベットの“I”を模った大型の建造物だったが、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、空中に浮かぶ多数の菱形で構成されたものとなっている。
- ウルトラスペースポート
- 宇宙船の発着港。
- ウルトラコロセウム
- 宇宙警備隊員を目指すウルトラ戦士たちの訓練施設。光線技の練習に使用するターゲットビジョンや、1対1の組み手訓練用の足場などの設備がある
- ウルトラ小学校/宇宙情報センター
- 『ウルトラマンタロウ』第26話に登場した小学校と情報センターを兼ねている当時の光の国の中でも巨大な建造物。タロウは少年時代ここに通っていた。
- ウルトラサインの伝言発信サービスも行われている。
- ウルトラタワー
- エンペラ星人率いる怪獣軍団との勝利を記念して、ウルトラの父によって建設されたタワー。最上部に『命の炎』が燃え上がり、タワー内部にはウルトラベルが納められている。ウルトラの国からやや離れた場所に存在する。
クリスタルタウン[]
- 映画『ウルトラマン物語』に登場した、透明感溢れる建造物郡で構成されている光の国の都市。ウルトラ族の人々のための生活空間も存在する。クリスタルタウンの外れにはウルトラの谷があり、少年時代のタロウが訓練に明け暮れ、小型怪獣ドックンと出会っている。
都市の中の主な施設・地名[]
- トレーニングルーム
- 映像ライブラリーやウルトラ念力を練習する球体などの設備を備える訓練施設で、映画『ウルトラマン物語』では地球を防衛する前のタロウがここで様々な訓練に励んでいた。
- メディカルルーム
- クリスタルタウンの中で最も高いタワーの最上部に位置する医療施設。負傷したウルトラ戦士をプラズマスパークの力で治療する。戦いで重傷を負ったウルトラの父がここで治療を受けた。
- 銀の広場
- プラズマスパークのエネルギーに最も満ちた広場。ここは、映画『ウルトラマン怪獣大決戦』にのみ登場した。
その他の施設・地名[]
- 光の神殿
- 装飾物は勿論、床や天井まで視認できない光溢れる神秘的な空間。『ウルトラマンメビウス』における光の国は全話通して光の神殿のみで描写されている。
- 命の泉
- 『ウルトラマンタロウ』第1話に登場した、ウルトラ5兄弟に運び込まれた東光太郎がタロウの命を授かった場所。辺り一面が虹色のオーロラに覆われている。
- ウルトラクリニック78
- 『ウルトラマンタロウ』第19話で、バードンに敗れたタロウをウルトラの母が治療した医療施設。メディカルルーム内は地球の医療道具のようなものが一切ない。
- 第2ウルトラタワー
- ウルトラの星の軌道を司る大型の鍵・ウルトラキーを納めるもう一つのウルトラタワーで、『ウルトラマンレオ』第38話に登場。ウルトラベルを納めているタワーよりもやや細身の形状で、ババルウ星人の鎖の攻撃を受けて倒壊してしまった。
- 神秘の碑
- ウルトラの星にのみ存在する銀色の宇宙植物・シルバーグラスが生い茂る草原。『ウルトラマンA』第44話で、オニデビルの豆で筋力を失ったエースは、ここでセブンの治療を受けた。
脚注[]
- ↑ 『ウルトラマン』の企画された時代には、このようなジェットを噴出する活動銀河のメカニズムとして大質量ブラックホールを考える説はまだ知られておらず、反物質世界へとつながるワームホールではないかという仮説があった。
- ↑ ウルトラマンキングの“キング”は一種の称号的な名前であり、少なくとも現在はウルトラの国の王ではない。
- ↑ 『大怪獣バトル』シリーズでは、「ギャラクシークライシス」という事件により、世界観の矛盾を解決しているという設定と繋がっている。海外制作のウルトラマンは同映画パンフレット坂本浩一監督のインタビューより。当初は登場予定はなかったが「設定上さしさわりないなら出したい」というスタッフの意向で登場するようになった。
- ↑ 漫画『ウルトラマンSTORY 0』では、光の国から発せられたディファレーター因子の影響を受けた惑星とされる。
- ↑ 映画『ウルトラマン怪獣大決戦』で共演した事から、U40もM78星雲内であるという説が語られる事もあるが、公式に語られたM78星雲とU40の関係は、2011年の時点では漫画『ウルトラマン超闘士激伝』にて両者が友好国であると語られたのみである。
関連[]
- ふしぎの海のナディア - 古代アトランティス人はM78星雲から来たという設定。
- 絢爛舞踏祭 - 光の帝国という巨大な星系国家(M78星雲)が存在するという設定。
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