ウルトラマンは、ウルトラシリーズに登場するキャラクター。
概要[]
原則として地球人とは会話せず、感情などは動きだけで表現している。「シュワッチ」(飛び立つ際の掛け声)あるいは「シュワッ」などと、表記される多種の掛け声のみを発している(声は中曽根雅夫が担当)。劇中、まれに会話をしていることがあり、第1話と最終回では中曽根ではなく、編集技師の近藤久が声をあてた。
プロフィール[]
ウルトラマン本人のプロフィールは、劇中で明らかにされてはいないが、雑誌記事等で詳細に設定されている。
- 身長:40メートル(『ウルトラマンタロウ』第40話のナレーションでは53メートル)[1]※さまざまな構造物との大きさ比較(1 E1 m)
- 体重:3万5千トン
- 年齢:約2万歳(最終話での台詞より)
- 飛行速度:マッハ5
- 走行速度:時速450キロメートル
- 水中速度:200ノット
- ジャンプ力:800メートル
- 腕力:10万トンタンカーを持ち上げる
- キック力:320文の威力がある
- 職業:宇宙大学教授、宇宙警備隊銀河系局長(のちに支部長と設定)
- 趣味:読書
- 家族構成
- 父:宇宙保安庁長官
- 母:ウルトラ学校教師
変身方法[]
ハヤタがウルトラマンに変身する際には「ベーターカプセル」という懐中電灯状の機器を使う。ハヤタが赤いボタンを押すとフラッシュビームと呼ばれる光が発生し、ハヤタの周りを渦巻き状に包みこみウルトラマンに変身する。変身・巨大化時のポーズは“右手を宙空に突き上げ、左手は顔の隣に置く”という独特の形であり、ウルトラマンを特徴づけるポーズとして以降の作品でも踏襲されている。
書籍設定では、フラッシュビームにM78星雲人の生命の源である人工太陽プラズマスパークと同じエネルギーが含まれ、この光によって元の姿を一定時間取り戻すことができるとされている。また、番組放映当時の資料等には太陽光に含まれるベーター線との記述もある。
能力[]
ウルトラマンは様々な特殊能力を持っており、それぞれ固有の名称が付けられている。その中には超能力、光線、既存の格闘技が含まれている。その名称は書籍や年代によってばらつきがあったが、近年は円谷プロ監修で統一されている。劇中で名称が明言されたのは「スペシウム光線」と「テレポーテーション」のみで、他は書籍等の記事で呼称されている。この技の一部は後のウルトラマン達にも継承されている。
- スペシウム光線
- ウルトラマンが使う代表的な必殺技で、左右の手刀を十字型に交差させて右手から発射する破壊光線である。右腕にマイナス、左腕にプラスのエネルギーが蓄えられ、それをスパークさせて発射すると設定されている。相手を爆破または炎上させる効果がある。決まり手として多用される一方、通用しなかった敵も数体いる[2]。連射も可能。この光線には火星に存在しバルタン星人が苦手とする架空の物質スペシウムが含まれているとされ、劇中では第2話でムラマツがそのことを指摘したのを受けてフジ隊員が命名した。
- 「スペシウム」の名称は「スペース(宇宙)」+「イウム(「物質」を意味する接尾語)」から成り、命名とポーズの考案は脚本・監督の飯島敏宏によるもので、飯島曰く十字ポーズは忍者が手裏剣を投擲する際の動作が元になっているとのことである。
- 白色の光線だが、後年の作品にゲスト出演する際は色が異なっていることがある(例:『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では金色になっている)。
- 映画『新世紀ウルトラマン伝説』によると、全ウルトラマンの光線技の原点とされ、総てのウルトラマンがその構えをしている[3]。
- スペシウム光線を命中させても効かなかった相手はアントラー・ケムラー・ケロニア・キーラ・ゼットン、撥ね返された相手はバルタン星人(二代目)、ポーズを取ったがスパークが起きず発射できなかった相手はアボラスである(この時は溶解泡が絶縁体の役割をしたため)。
- 八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)
- スペシウム光線のエネルギーをリング状に丸めたもので、外周にのこぎり状態の突起がある。相手の体を切断するために使う。まず両手を胸の前に水平に構えた後、挙げた右手を振り下ろして投げる。第16話でバルタン星人(2代目)に対して初使用。空中で2つに分離してレッドキング(2代目)を3つに切り裂いたこともある。投げ返されたり、バリアーに防がれるなど通用しないことも多い。
- 『ウルトラマンメビウス』以降の作品へのゲスト出演時にも度々使用され、その際には高速追尾機能を追加したり、左手に発生させて直接斬りつけて頑丈なキングジョーブラックの腕を切断したりと、特殊な使用例を見せている。
- ウルトラアタック光線
- 両腕先に発生させたエネルギーを右腕に誘導してからリング状の光線にして放ち、相手を硬直させたのち粉砕する技。劇中では第31話でスペシウム光線が効かなかったケロニアを倒したのが唯一の使用例である。資料によっては火に弱い敵に有効な熱線、または相手を麻痺させる光線で止めの爆発は念力によるなどの説明もあるが、シナリオによればリング状光線から相手の爆発まで一連の技である。
- 『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では同様にスペシウム光線が効かない怪獣であるアントラーを倒す際に使用。この時は上記の資料に忠実な描写が成されていた。
- 透視光線
- 両目から放って透明な敵を発見したり、壁の向こう側を見通す光線。バルタン星人(初代)の宇宙船や、透明化したダダを発見するために使った。
- ウルトラアイスポット(ウルトラ眼光)
- 両目から放つ光線。バルタン星人(2代目)の光波バリヤーを無効化した。
- スラッシュ光線
- 掌を合わせて連続発射する矢尻状の光線。第33話で使ったが、メフィラス星人の光線に相殺された。
- キャッチリング(金縛り光輪)
- 相手の動きを封じるための光輪。高速スピンを行いながら発射したリング状の光の鎖で敵を締めつける。ゼットンに使ったが、火球でスピンを止められ、引き千切られた。
- リバウンド光線(ウルトラバリヤー)
- 手の先から発するエネルギーで光の壁を空中に描き、攻撃を跳ね返す。ジェロニモンの無重力光線を跳ね返した。
- ウルトラ念力
- 強力な念力を放って物体を粉砕したり、静止させる能力。アボラスの吐いた溶解泡を吹き飛ばし、ウルトラアタック光線と併用してケロニアを粉砕し、ジェロニモンが放った大量の羽根手裏剣を止めた。『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、ハヤタの状態で使用した。
- ウルトラエアキャッチ(ウルトラ反重力光線)
- 両手から放つウルトラ念力の一種で、手を触れずに敵を空中に浮かばせることができる光線。そのまま地面へ叩きつけることもでき、第25話でレッドキング(2代目)に使った。
- ウルトラサイコキネシス
- 念力で相手の動きを止めて左右の手の指先により、その動きをコントロール。空中に持ち上げて遠くに飛ばし、爆発させる技。38話でスペシウム光線や八つ裂き光輪が効かないキーラに対して使用した。
- ウルトラ水流
- 両手を組み合わせ、指先から高圧の水を放出する技。ペスターが起こした石油コンビナートの大火災を鎮火するために使った。また、水を弱点とするジャミラに浴びせて倒したこともある。
- ハイスピン
- 体を高速回転させる能力。ブルトンが作り出す四次元空間から脱出した。また一峰大二コミック版では、ぺスターに浴びせられた粘着性の油脂を振り払うのにも使用している。
- テレポーテーション
- 異なる星に瞬時に移動する能力で、自身の寿命を著しく縮める。第16話で使用。
- 光線白刃取り
- 第31話でケロニアの光線を両手で受け止めて防いだ技。
- 飛行能力
- 大気圏内だけでなく宇宙空間を自由に飛行する能力を持っている。大気圏内での飛行速度はマッハ5。超光速で飛行する時は赤い光の玉に変身する(第1話)。
- 巨大化能力
- 第28話でダダのミクロ化機(縮小光線銃)により等身大にされた際にのみ使用。胸の前で両手を合わせてスパークさせ、変身時と同じプロセスで再度巨大化した。
- 空中体当たり
- 高速飛行しながら空中の敵に体当たりする。ガマクジラとスカイドンを倒した。第14・34話では激突時の飛行ポーズが異なる(ガマクジラの時には頭から突っ込んでいるが、スカイドンの際には通常の飛びポーズ人形を使った)。
- ウルトラ頭突き
- ダイヤモンドの100倍の硬さがあるといわれる頭頂部を使い、低い姿勢から勢いよく飛び出して体当たりする技。
- ウルトラチョップ
- 手刀で相手を殴打する。敵目掛けて走り、すれ違いざまにチョップを決める「ウルトラ霞斬り」という応用技もあり、ジラースを倒した。
- ウルトラダブルチョップ
- 両方の手のひらを合わせて放つチョップ。「ウルトラスラッシュ」を弾き返したグビラのドリルを一撃叩き折った。レッドキング(二代目)に対しては後頭部に一撃を見舞って勝機をつかみ、ゴルドン戦では首を叩き伏せた。また、アボラス戦でも披露している。
- ウルトラパンチ
- 敵の弱点を見極めて打ち込むパンチ技で、インド象50頭分の威力がある。
- ウルトラキック
- 足にパワーを集中して素早く打ち込むキック技。ウルトラマンの関節は「三重関節」と呼ばれ、キック等の威力が数百倍になる。
- 急降下キック
- 高空から敵めがけて急降下して、両足で一気に怪獣を蹴り倒す技で、グリーンモンス、レッドキング、ゴモラ、ジェロニモンに使用した。
- 回転首締め
- 両足を敵の首に絡めたまま転倒させて、ともに大地に横たわった状態でギリギリと締めつける、プロレス技に似た戦法。ダダを苦しめた。
- ウルトラスウィング
- 敵を掴んで振り回し、放り投げる。振り回して投げるものは、児童誌に「ハンマー投げ」と紹介されたこともある。
- 岩石落とし
- 怪獣にダメージを与えて、ひるんだところを両腕で持ち上げ、地面に叩きつける大技。
- 背負い投げ
- 相手の首を後ろ手につかんで、背中に乗せるようにして投げ飛ばしてにして大地叩きつける大技。レッドキング、テレスドンを一撃で倒している。
- 巴投げ
- 大地に寝て、相手の突進してくる力を利用するようにして、足の力で投げ飛ばす技。
- ネックハンギング
- 怪獣の首を締め上げたまま体を持ち上げ、動きを鈍らせる技。この技で怪獣を弱らせ、投げ技へとつなぐことが多い。
- ヘッドロック
- 脇で怪獣の首を締めつけ、動きを一時的に封じる技。戦況に応じて、片手で締めたり両腕を使って挟んだりする。怪獣が突進してきた瞬間に抱え込んで、そのまま投げ飛ばす技に転ずることも多かった。
- 馬乗り戦法
- 上空から勢いよく敵の背後にのしかかり、馬乗りになって動きを封じる戦法。
- ウルトラバリヤー
- 光の壁を作り出し、敵の攻撃を防ぐ。『ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』で、光の国の氷結から逃れる際にセブンと共に使用した。
- 防御能力
- 高い防御力を誇り、特に熱に対しては強い。跳ね返されたスペシウム光線を受けても軽傷で済んだ上に、原子爆弾の爆発に巻き込まれても殆どダメージを受けなかった。化学的な耐食性も高く、アボラスの溶解泡もあっさりと弾き散らしてしまった。電撃に対しても耐性があり、ネロンガの電撃を胸に受けても平然としていた他、『ウルトラマンメビウス』に客演した時にも、メフィラス星人の電撃を弾いている。
- ウルトラの星作戦(スパークロック)
- 『帰ってきたウルトラマン』にゲスト出演した際に、ウルトラセブンと共に使用した技。2人で体を交差させてエネルギー域を作り出す。ナックル星人に捕らえられたウルトラマンジャックを蘇生させた。
- ウルトラスペシウムシュシュファイナル
- 『有言実行三姉妹シュシュトリアン』にゲスト出演した際、バルタン星人を倒すために使用された。前衛で巨大化したシュシュトリアンが必殺技「シュシュファイナル」のポーズを取り「ウルトラスペシウムシュシュファイナル」と技名を叫び、後衛に配したウルトラマンが「スペシウム光線」を「シュシュファイナル」を放つ交差したバトン越しにバルタン星人に向かい放つ事で二つの技が合わさった技。
- ウルトラセパレーション
- 映画『甦れ!ウルトラマン』で使った新技。5体に分身し、それぞれが各地に飛んで怪獣と戦う。
- 関連書籍によると、2010年時点でシリーズ最高の超能力技とのことである。
- マリンスペシウム光線
- 映画『甦れ!ウルトラマン』で使用。スペシウム光線の威力を強化させた7色の光線。スペシウム光線が効かないゼットンを倒した。
- 赤い球状での体当たり(名称なし)
- 『ウルトラマンティガ』第49話で、円谷英二監督の想いが実体化して現れたウルトラマンが使用。ヤナカーギーを弾き飛ばした。
- エネルギー付与
- 同じく『ウルトラマンティガ』第49話で使用。ティガにエネルギーを与えた光線。
- ファイナルクロスシールド
- 映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』で、Uキラーザウルスとヤプールの怨念を封印するためにウルトラセブン、ウルトラマンジャック(新マン)、ウルトラマンAと共に使った大技。エネルギーのほぼ全てを使い果たしてしまうため、使用後は変身と戦闘を行うことが困難になる。
- エネルギー照射
- 映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』で、セブン、ジャック、Aと共に使った能力。宇宙人連合に捕らえられたメビウスに、4方向からエネルギーを与えた。上記のエネルギー付与とは別物。『大決戦!超ウルトラ8兄弟』ではセブン、ジャック、Aと並んで放ち、ブロンズ像にされたメビウスを復活させた。
- 結界
- 『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』で使った、付近一帯に怪獣を寄せ付けなくする結界。レイブラッド星人に肉体を封印された状態で使用し、自らの命を削りながらも人間を守っていた。
- グリッターバージョン
- 映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』で人々が信じた未来や希望の“光”を得てパワーアップした姿。銀の部分が金、赤の部分が赤みのある金と元々のカラーを金色に変えたカラーリングとなっている。『ウルトラマンティガ』のグリッターティガのように巨大化はせず、身長は通常時と同じ。
- グリッターバージョン単独での戦闘は無いが、セブン、ジャック、A、ティガ、ダイナ、ガイア、メビウスと力を合わせ『スペリオルマイスフラッシャー』を巨大影法師に放ち消滅させた。
変身時間[]
ウルトラマンの活動時間は「3分間」と視聴者に認知されているが、本作の劇中において3分間と言及されているわけではない。「ウルトラマンの太陽エネルギーは地球上では急激に消耗する。エネルギーが残り少なくなると胸のカラータイマーが青から赤に変わり点滅を始める。そして、もしカラータイマーが消えてしまったら、ウルトラマンは二度と立ち上がることが出来なくなってしまうのである」というナレーションが入るに留まっていた。劇中で「ウルトラマンのエネルギーは3分間しか続かない」と初めて明言されたのは、『帰ってきたウルトラマン』の第1話である。
TBS番組宣伝課発行の「ウルトラマンあらすじ集」には「ウルトラマンの持続時間は胸に点滅するカラータイマーのランプの色と警告ブザーが示す。最初は青色で3分間、途中黄色に変わった時が注意信号で、赤色になるとあと30秒で全ての力を失う危険信号になっている」と記述されているが、これは仮タイトル時の2月15日にTBS第一会議室で作成された「レッドマン最終申し合わせ事項」をほぼそのまま引用したもの。放映直前の「週刊テレビガイド」1966年6月24日号では、「ウルトラマンの胸に赤ランプがつくと、彼の超能力もあと30秒で消滅するのだ!」と、青の具体的な持続時間及び黄色の注意信号の件が省略。続く「ジュニアTBSニュース号外」では「ウルトラマンの胸に赤ランプがつきブザーが鳴るのは、もうすぐエネルギーがゼロになるという警告である」と、ラスト30秒の件までが省略され、完成作品におけるナレーション(前述)に極めて近いものになっている。ただし第7話には「あと30秒だ!」というイデ隊員のセリフがあり、当初の基本設定が踏襲されている。
これら初期の設定を大伴昌司が「少年マガジン」誌上で紹介したものを、後に円谷特技プロが後から公認したとされる。
なぜ制限が3分間であるかについては、円谷特技プロの満田かずほ監督によれば、経費節減のために30分番組の1割に当たる3分間という事とともに、当時の時代背景が大きく影響しており、ボクシングにおける1ラウンドの試合時間や、チキンラーメンの調理における待ち時間、長嶋茂雄の背番号などからヒントを得たとしている。
カラータイマー[]
撮影費用のかかる特撮部分の経費削減と、ウルトラマンが完全無欠のヒーローでありすぎると話に面白みが欠けるので、子どもにも判りやすい弱点を作ることが目的で、当初のデザインでは存在していなかったカラータイマーと変身時間の制限が導入されたといわれている。カラータイマーの点滅については、当時主流だった白黒テレビを考慮しての面が大きい。
カラータイマーはデザイン上の要請とは無関係に考案されたものであり、デザイン担当の成田亨はこれを嫌い、自身が作成したウルトラマンの絵画や塑像にはカラータイマーをつけていない事が多い[4]。また、ウルトラマンの変身・巨大化時の右手を宙空に突き上げたポーズの映像ではカラータイマーがついていないように見える。しかしウルトラマンに不可欠なデザイン上の特徴として以後のウルトラシリーズに継承され、他の類似作品にも大きな影響を与えた。
名前の由来[]
劇中では、第1話でハヤタが最初に「ウルトラマン」と命名しており、その直前に「名前なんて無い」とも断言している。光の国での本名は明らかにされず、敵対宇宙人やゾフィーまでが、この呼称で彼を呼んでいる(ゾフィーは自ら名乗っている)。2008年の映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』と、その初期プロット『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟2』では、ウルトラマンメビウスやウルトラマンタロウから、「ハヤタ兄さん」と呼ばれていた。
制作上の経緯として、企画書段階で主人公は「ウルトラマン」ではなく当初は「ベムラー」、後に「レッドマン」と呼ばれていたが、最終的には前作『ウルトラQ』を引き継ぎ、「ウルトラマン」と命名された(ベムラーは放送第1話の怪獣の名称として流用される)。
デザイン・造形[]
ウルトラマンのデザインは、前作『ウルトラQ』でも怪獣や宇宙人のデザイン、セットの美術デザインを依頼された彫刻家の成田亨が担当した。仕上げの最終段階で平面上の作業に見切りをつけたため、デザイン画の決定稿は存在しない。成田の指示のもと、美術スタッフの佐々木明が粘土による造型作業を繰り返す中で、あのマスクと身体の模様が出来上がった[5]。漫画家のみうらじゅんは「ウルトラマンの顔は弥勒菩薩の顔を元にしている。」「弥勒菩薩が怪獣と言う名の煩悩と戦い排除する」「スペシウム光線は、角度を変えると仏像のポーズになる」と言う指摘をしているが、成田や制作陣もそれを認めている。
造形は目立つところで2度モデルチェンジが行われており、一般にはAタイプ(第13話まで)、Bタイプ(第14~29話)、Cタイプ(第30話以降)と呼ばれて区別されている。Aタイプのマスクは材料がラテックスで製作されていたが、これは当初、ウルトラマンの口が開閉する予定があったためである(中の演者が口を開けばウルトラマンの口が閉じ、反対に演者が口を閉じればウルトラマンの口が開く仕掛けがマスクの中に付けられていた)。しかし、中の演者が口を動かすと必然的にウルトラマン自体の動きに影響が出てくることが判明したために、結局はマスクの中の仕掛けを外すこととなった。その名残りがAタイプのマスクの口の横にあるシワである[6] 。そして撮影が1クール分終了し、撮影による傷みと劣化のためにスーツとマスクを新調することとなった際に、ウルトラマンの口が開閉することがないのならばラテックスでマスクを作る必要もないだろうという判断がなされ、その後、Bタイプ以降のマスクはFRPで製作されるようになった[7]。ややアゴの部分が張っていて四角い顔の雰囲気があるのがBタイプのマスクの特徴で、Bタイプに比べると細身な感じがするのがCタイプのマスクの特徴である。Cタイプの原型は、後の『帰ってきたウルトラマン』にもデザインが流用されている。マスクと共にスーツの見映えも大きく変更されており、特にBタイプ以降はそれまでに比べて胸部がボリュームアップされ筋肉質の体型となっている。実際には撮影に伴う劣化などのために、3種類だけでは区切れない細部の変更(Aタイプは黒いウェットスーツの上から銀と赤の塗料で何度も塗り直していた。Cタイプスーツの足先は、第30・31話ではBタイプを流用したラテックス成型だったが、第32話からブーツの底を取り除いたものに変更された)が認められる。
手袋には手術用の薄手のゴム素材のものが使われ、ブーツとスーツの継ぎ目はやはりゴム素材で巻かれ、ともに装着後スーツと同色に塗装することで、視聴者に「人が着ぐるみを着て演じている」印象を薄める処理がなされている
これらウルトラマンの撮影用スーツは現存するものがあり詳細は以下のとおりである。
- Aタイプ - 素材がラテックスの為、経年劣化により現存していない。
- Bタイプ - 撮影終了後に円谷倉庫にて保管されていたが、1970年代に盗難に遭い消息不明とされる。
- Cタイプ - 撮影終了後に番組スタッフの下に渡っており、マスクのみ当時のものが現存する。
ウルトラマンのスーツはゴム素材を使っているため、経年劣化による傷みが激しく、数年以上完全な形で保存することができない。そのため、後のウルトラシリーズの各番組や映画、またイベントや展示、CM撮影に使われるスーツは、数年毎に新調されたものが使われている。作品の制作が終了した後もこうして多くのスーツが作られ、またこれらは基本的に手造りであるため、細部の異なったさまざまなバリエーションのスーツが存在することになった。スーツは中に入る演技者の体形に合わせて製作されるため、身長の違いによるバリエーションが最も大きい。
各世界での活躍[]
M78ワールド[]
『ウルトラマン』では、竜ヶ森湖上空でベムラーを追っていた所を、科学特捜隊の早田進と衝突し殺してしまい、命をわけあたえ一心同体となり、科学特捜隊の一員として怪獣や侵略者と戦う。その後、ゼットンに敗れた所にやってきたゾフィーに命を分けてもらい、早田進の記憶を消し分離する。
コアスペース[]
こちらでも、竜ヶ森湖上空でベムラーを追っていた所を、科学特捜隊の早田進と衝突し殺してしまい、命をわけあたえ一心同体となり、科学特捜隊の一員として怪獣や侵略者と戦い、ゼットンに敗れるが、死ぬ事はなく存命。『甦れ!ウルトラマン』では、他の科学特捜隊とともに怪獣軍団を倒し、マリン・スペシウム光線でゼットンとの再戦にも勝利している。
Z95ワールド[]
『ウルトラマン』では、竜ヶ森湖上空でベムラーを追っていた所を、科学特捜隊の早田進と衝突し殺してしまい、命をわけあたえ一心同体となり、科学特捜隊の一員として怪獣や侵略者と戦う。その後、ゼットンに敗れた所にやってきたゾフィーに命を分けてもらい、早田進の記憶を消し分離する。
『有言実行三姉妹シュシュトリアン』第40話に単独で客演。人間体としてハヤタそっくりの円谷特技プロ職員も登場している。
TOY1ワールド[]
『ウルトラマングラフィティ おいでよ!ウルトラの国』では、主人公。田中秀幸が声を担当。
職業は、車のセールス「モタモタモーターズ」第一販売部のサラリーマン。元々はヒーローだったが、今は誰もヒーローを必要としていなく、第2話でマックンの先生(ウルトラマン80)とその他生徒達の父親の争いの中に参戦し、両親を成敗するが校長先生(ジェロニモン)におこられ、本当に誰もヒーローを必要としていないのかと悩み続ける。一度後輩であるカネゴンのお見合い相手のウー子に自分のお見合い相手と勘違いされて大ピンチになってしまった事がある。
ネオフロンティアスペース[]
光の国の残った数少ない光の巨人の末裔とされている。『ウルトラマンティガ』第49話に登場。他の世界でも因縁の深い竜ヶ森湖で円谷英二と出会っている事が明かされている。
脚注[]
- ↑ 映像上の縮尺は厳密なものではなく、場面によって他のものとの対比が変わることがある。
- ↑ 直撃しても効かなかったのはアントラー、ケムラー、ケロニア、キーラの4体(バリアで防御・吸収・光線で相殺といったケースを除く)。
- ↑ 指揮についていたゾフィー・父・母・キングと、スペシュッシュラ光線の構え(スペシウム光線の逆)をとっていたゼアスを除く。
- ↑ ただし、国道4号に設置された青森県立美術館の案内看板に使われているイラストにはカラータイマーを描いている。
- ↑ デザイン画は存在しないものの、佐々木明の制作した雛形は残されている。
- ↑ 青柳宇井郎/赤星政尚『懐かしのヒーロー・ウルトラマン99の謎』二見書房、1993年、66-67頁
- ↑ 同上